誰もがスマホを持つ時代になり、動画コンテンツへの接し方も大きな変化をみせています。その中でも特に顕著なのが、テレビからネットへの移行。国内外で人気YouTuberが数多く誕生するなど、YouTubeの存在感は日々大きくなっています。
このようなメディア業界の変化の中で注目を集めている企業が、株式会社VAZです。YouTuberをはじめとしたタレントのマネジメント事業を中心に成長してきた同社は、その影響力をもって新たな事業を続々と展開。日々に変化と充実を与える情報を送り届けることをミッションに、数々の新しいサービスを通じて、世界中の人々が輝ける、ひらけた社会を目指しています。お話をお聞かせいただくのは同社で人事を務める高橋氏。現在、採用を強化している「YouTubeプロデューサー」の役割や仕事のやりがい、働く環境に至るまで幅広くお伺いします。
▲株式会社VAZ コーポ―レート部コーポレート課 マネージャー 高橋翔太朗氏
高橋氏:当社の強みは大きく分けて3つあります。まず1つ目はYouTubeプロダクション会社の中でも“老舗”だということです。一定のネームバリューを保有していることに加え、社内には実績・ナレッジともに豊富に存在し、プロデュースに関する高いノウハウを保有しています。ですので、これからYouTube業界でチャレンジしていきたいと考えている方には最適な環境だと思っています。
次に、プロダクション事業・映像制作事業・メディア事業と3軸でビジネス展開している点が挙げられます。これによるメリットは、インフルエンサーマーケティング、プロダクション、そしてメディアの事業それぞれにおいて、社内の中でシナジーを生み出せるということです。メディアの運営ひとつとっても、個別タレントのプロデュース方針とメディアのプロデュース方針の摺り合わせをスムーズに進めたりすることが可能になります。
最後に、昨年10月に行った経営体制の刷新により、「大人な会社」へと変革を遂げていることがあげられます。YouTube業界の変化は激しく、経営陣には常に高いレベルでの正確な判断が要求されます。より経験豊富なメンバーを経営陣に迎え、我々VAZはより強い企業体制を構築することができました。この点はさらに一歩進み、これまででは考えられなかったような大手企業との繋がりを生み出し、規模感の大きな新しい仕事を呼び込む導線にもなりました。単価も大きく長期で利益を見込めるような案件が増えていく見通しなので、今後VAZにジョインしてくださる方にはその辺りにも面白さを見出してもらえるのではないかと考えています。
高橋氏:今後私たちが注力していきたいポイントは2つあります。1つ目は、国民的なスターをつくること。タレントビジネスの特徴の1つとして、スター的な存在を生み出すことによって事業を安定させられるという点が挙げられます。そういった未来のスターとなるような若手を育て、あらゆるメディアへ売り込んでいき、YouTube初の国民的スターを創出できたらベストだと考えています。
次に、強いメディアを作ることです。現在当社には、小・中学生の女性をターゲットとする「めるぷち」をはじめとした3つのメディアがあります。YouTubeビジネスはご存知の通り、登録者数・再生数が増えれば増えるほど広告収入が入ってくる仕組みですので、ここにテコ入れをし、将来的にはネットメディアを代表するような番組作りを目指していきたいと考えています。
メディアとしての力がつけば、ゆくゆくはマスのメディアで活躍しているようなタレントさんも出演してくれるようになります。そうなると視聴率が伸び、そしてまた更に有名な方も出演してくれる、というポジティブなサイクルが回っていくことになりますので、メディアのグロースには特に注力していきたいと考えています。
高橋氏:現在、これまでインフルエンサーマーケティングにあまり関心を持たれてこなかったような業種のお客様からの案件のご相談が急増しています。そのため、より新しい価値観をもってゼロイチで企画を生み出したり、組織として安定的に運用していく方法を考え、また実行する能力を備えたプロデューサーの存在が必要不可欠なのです。
さらに、昨今クライアントから寄せられる相談で多いのが、YouTubeの「自社メディアを持ちたい」という声です。とは言え、クライアントは必ずしもYouTubeに精通している企業ばかりではありません。当社は、企業のYouTubeチャンネル運用事業も展開しているため、何から初めていいのか分からないといったクライアントに対してのソリューションを提供できます。ここでもやはり、プロデューサーの存在が不可欠になるわけです。
現在当社で活躍するプロデューサーは大きく3種類に分類されます。まず、YouTuberの個人チャンネルをサポートするプロデューサー。次に、「めるぷち」をはじめとする自社メディアのプロデューサー。そして最後に、外部のYouTubeチャンネルを運用代行するプロデューサーです。手がけていることは異なりますが、全員肩書きはプロデューサーとして在籍しています。
高橋氏:何と言っても、時代の最先端の仕事に携われることではないでしょうか。YouTubeが仕事になると世間が気付き出したのが6〜7年前。そして、YouTubeにもプロフェッショナルのプロデューサーが必要だと思われ始めたのがおそらく3年前くらい。つまり、“YouTubeのプロデューサー”という仕事は世の中に急激かつ強く求められている一方、まだまだその存在に気づかれてさえいない職種で、新しく、大きな可能性を秘めていると言えます。
現在当社で活躍している社員の中には、テレビや映画のプロデューサーをしていた者もいます。テレビや映画のそれと大きく異なる点は、何をつくるかはプロデューサー自らの裁量で決められるという点です。仕事のデザインから始まるんですよね。
成功事例のひとつとして、当社が運営する「Mel」というメディアは過去40万ほどの登録者がいましたが、メイン出演者のメディアからのご卒業などがあり、一年ほど前にストップしました。ですが、新たな社員と所属タレントが増えてきたこともあり、2ヶ月ほど前に運営を再開しています。その背景にはやはり、中途で入ってきてくれたプロデューサーたちの頑張りがあります。
一度ストップしていたメディアを復活させるのは容易いことではありません。彼らはまず、リニューアル方針を決め、今まで培ってきたキャスティングなどの経験をフルに活用して、チャンネルを作り上げたのです。ほぼ新規のメディアの立ち上げと同等の難しい仕事だったと思いますが、担当した社員達からは大きな達成感の声を聞いています。ゼロイチの立ち上げから安定的な運用まで全てこなし、一つのメディアの成長を肌で感じることができることも、当社のプロデューサーならではのやりがいだと考えています。
高橋氏:お話してきた通り、YouTubeのプロデューサーという職業は非常に新しく、同じような経験をしている方はマーケットにほとんど存在しません。そのため、これまではテレビや映画のプロデューサーの方をターゲットにしていました。しかしそうなるとある程度の経験年数を積んでいる方が対象となるため、必然的に年齢層が高くなり、多様性という強みが弱まってしまっていたのです。そこで最近は、ディレクター経験があり、今後プロデューサーを目指したい方にも積極的にお会いするようにしています。
それでいて、テレビとYouTubeでは番組の作り方が大きく異なるので、柔軟性を持っている方に向いていると思います。テレビなどで培ってこられた知見やノウハウももちろん積極的に活かしていただきたいのですが、そこに固執してしまうと成功は難しいのではないかと思っています。
たとえば、テレビ制作となると、長いと半年以上もの準備期間がありますが、YouTubeの場合は大型企画であっても、準備期間は長くて1カ月程度。通常動画ともなれば1週間ほどの準備期間で撮影していきます。加えて、週に2~3回投稿していくようなスピード感も必要なので、経験を活かしつつ変化を厭わない方だと、仕事に楽しみを見出してもらえるのではないかと考えています。
高橋氏:やはり映像業界はこれまで「きつい」というイメージを持たれていました。それは今も変わることはなく、長時間労働も当たり前の世界です。当社にテレビ業界から転職してきたプロデューサーは「働く環境がかなり改善した」と言ってくれます。もちろん繁忙期もありますが、残業続き…ということは一切ありません。
組織カルチャーは、自由闊達そのもの。社歴や年次にかかわらずコミュニケーションがとりやすいのも当社の特徴の一つです。昔は20代の社員ばかりでしたが、最近は30〜40代の社員も増えてきて、より多様性が生まれています。若手はベテランに対するリスペクトをしっかり持っており、また同時にベテランも若手から学ぼうとする意識があり、お互い切磋琢磨し、刺激し合える仲間がいます。
現在はコロナ禍で、リモートワークが中心です。特に出社しないといけない理由がない限り、在宅で仕事をしてもらっています。たまにスタジオで社員同士が集まったときは楽しそうにしていますよ。コロナが終息すれば、また以前のように一堂に会して、楽しく食事したりしたいですね。
高橋氏:評価制度は今年から大きく変わる予定です。YouTubeの世界はある意味シビアで、仕事の成果が数字にすぐに現れます。動画を公開した瞬間に再生数や高評価・低評価の数までリアルタイムに表示されていく、結果が分かりやすい世界です。このため、はっきりした成果を出された方には会社としてしっかり報いたいと考えており、その想いから、賞与システムの刷新を図っています。
一方、再生回数はスキルの要素に加え、運の要素も大きく作用してしまうところがあります。日々の努力で身に付けられたスキルについては「グレード」として評価し、昇給・昇格の対象とするなど、ベースの評価要素として賞与の評価とは別軸で評価されます。
スキルが未熟であっても、鋭い感性などで大バズりする「ホームラン」を打った時には、賞与(ボーナス)で報い、一方の努力やスキルもしっかり評価できる制度として洗練させていきます。
高橋氏:何度もお話してきた通り、YouTubeのプロデューサーは非常に新しい職業です。SNSが発達した現代において、個人の発信力が高まっていく流れは止められません。
従来、メディアを展開できるのはお金を持っている大企業などに限定されていましたが、今は個人でも簡単にメディアを作れる時代です。マスメディアに比して、ネットのよりミクロなメディアがますます力をつけていく中、誰も体験してこなかった仕事ができること。これこそがまさにこの仕事の醍醐味ではないでしょうか。
まだまだ新しい職業なので、今から始めたら業界のトップランナーになることも可能です。YouTubeのプロデューサーといえば○○さんと言われるような存在をぜひ目指して頂きたいと思っています。新しい価値観・世界を作っていける仕事は世の中にそう多くは存在しません。ぜひ当社でそれを実現してください。
テレビから動画へと視聴環境が大きな変化を迎える現代。なかでも老若男女が日常的に接するYouTubeとともに拡大してきた株式会社VAZ。昨年には大きな経営改革を行い、“大人な会社”へと生まれ変わろうとしています。職業としてまだまだ新しいYouTubeプロデューサーですが、ロールモデルがまだ存在しないからこそ、自らがその先頭で新しい企画や仕事を生み出していける点が大きな魅力になるのだと感じる取材でした。評価制度から就業環境に至るまで刷新し、より盤石な組織へと変革を遂げる今、やりがいの大きな仕事ともに、安定した就業環境のもとで働ける企業なのではないかと感じました。